【獣医師監修】犬の涙やけが臭うのはなぜ?原因別の正しいケア方法と再発予防のコツ

監修|獣医師 奥田 賢仁
最終監修日:2026年4月6日
「うちの犬の涙やけが臭うようになってきた」「拭いてもにおいがすぐ戻ってしまう」――こんな悩みを抱える飼い主さんは少なくありません。
涙やけそのものは茶色い変色という見た目の問題と思われがちですが、においを伴うときは皮膚トラブルや感染が起きているサインの可能性があります。湿った被毛で雑菌が繁殖したり、目やにが酸化したりすることで、独特の不快なにおいが発生するのです。
本記事では犬の涙やけが臭う原因と正しいケア方法、病院に相談すべきサインまで詳しく解説します。原因に応じた対処法を知れば、においも見た目も同時に改善することが可能です。
結論:においの原因は雑菌・酸化・感染の3つ
涙やけが臭う原因は主に次の3つに整理できます。それぞれで対処法が変わるため、まず自分の愛犬がどのケースに当てはまるかを見極めることが大切です。
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原因 |
におい・状態の特徴 |
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1. 雑菌の繁殖 |
湿った被毛で菌が増え、酸っぱい匂いや生臭さに |
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2. 目やにの酸化 |
茶色・黄色の目やにが酸化して独特のにおいを放つ |
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3. 感染症(結膜炎・皮膚炎) |
膿のようなにおい、強い不快臭を伴う |
1の雑菌繁殖はもっとも多いパターンで、毎日のケアで改善が見込めます。2の酸化は目やにの量が多い犬で起こりやすく、こまめな拭き取りで対応可能です。3の感染症が原因の場合は自宅ケアだけでの改善は難しく、動物病院での治療が必要になります。
原因1:湿った被毛での雑菌繁殖
もっとも多いのが、涙で湿った目周りの被毛で雑菌が繁殖しているケースです。涙には水分とタンパク質が含まれるため、被毛にとどまっていると雑菌の格好のエサになってしまいます。特にマルチーズやトイプードルなど目周りの毛が長い犬種では、毛が湿気を抱え込んでしまい菌が増殖しやすい環境になりやすい傾向があります。
飼い主さんからの相談でも「夕方になると目周りが酸っぱい匂いがする」「梅雨時期に特ににおいが強くなる」「夏場のお手入れを怠ると一気に臭くなる」という声がよく聞かれます。湿気と気温が高い時期、シャンプー後にしっかり乾かしていないとき、目周りの毛をカットしていないときなど、湿気がこもる条件が揃うとリスクが高まります。
対策の基本は「湿った状態を作らない」ことです。具体的には次のようなケアが効果的です。
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対処法 |
ポイント |
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こまめな拭き取り |
1日2〜3回ぬるま湯で湿らせたコットンで拭く |
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拭いた後しっかり乾かす |
湿気を残さないよう乾いた布で水分除去 |
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目周りのカット |
毛が長いと湿気が残りやすい。短くトリミング |
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室内の湿度管理 |
梅雨時期は除湿で菌の繁殖を抑える |
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シャンプー後の徹底乾燥 |
目周りを念入りにドライヤーで乾かす(冷風を使用) |
ぬるま湯で拭くだけでも雑菌の繁殖は大きく抑えられます。コットンは瞼の上下をそれぞれ目頭から目尻方向へ、毛流れに沿って優しく動かすのがポイントです。同じコットンでこすり続けると汚れを広げてしまうため、何度かに分けて新しい面で拭きましょう。
原因2:目やにの酸化が独特のにおいを生む
茶色や黄色の目やにが目の周りに付着し、時間が経つと酸化することで独特のにおいを発します。目やにそのものは健康な犬でも出るものですが、量が多い・色が濃い場合は注意が必要です。
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目やにの状態 |
考えられること |
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少量・透明〜白っぽい |
正常な範囲 |
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茶色っぽい少量 |
涙やけと結びつきやすい正常範囲 |
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黄色〜緑色で量が多い |
細菌感染の可能性、要受診 |
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糸を引くような粘り気 |
ドライアイや感染症の可能性、要受診 |
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朝だけ目やにが多い |
正常範囲のことが多い |
目やにの量・色・粘度は健康のバロメーターです。普段と違う状態が続くときは病院に相談しましょう。特に黄色〜緑色の目やには細菌性結膜炎や角膜障害のサインのことが多く、放置すると悪化するリスクがあります。
疾患を伴わないケースでも、「朝起きたら目やにが固まって取れない状態だった」「夕方になると目尻に茶色い目やにが必ず付いている」など、シーン別での報告もよく見られます。固まった目やにを無理に剥がすとまつ毛ごと抜けたり皮膚を傷つけたりするため、ぬるま湯で湿らせて柔らかくしてから優しく取り除くのが正しい方法です。
原因3:結膜炎などの感染症が起きているケース
もっとも注意したいのが、結膜炎・角膜障害・や皮膚炎などで感染を伴っているケースです。膿のような眼ヤニや充血、目周りの赤み・腫れを伴います。雑菌繁殖や酸化と違って自宅ケアだけでは改善が難しく、抗生剤や抗真菌薬など投薬による治療が必要になります。
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疑われる疾患 |
特徴的な症状 |
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細菌性結膜炎 |
黄~緑色の目やに、充血、強いにおい |
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眼周囲のマラセチア感染 |
脂っぽい皮脂とともに発酵臭 |
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眼瞼炎 |
まぶたの赤み・腫れ、痒がる仕草 |
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角膜の傷からの二次感染 |
強い痛み、充血、目を開けにくそうにする(羞明) |
夏場に涙やけのにおいが強くなったこと主訴に来院されたケースでマラセチア性皮膚炎と診断したケースや、「結膜炎の治療後に眼周囲のにおいの改善が見られたケースなどがこれまであります。このように涙やけのにおいの裏に治療が必要な疾患が隠れていることは珍しくありません。
正しいケアの基本手順
におい対策のための基本ケアを整理しました。シンプルですが、毎日続けることで確実に効果が出ます。
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ステップ |
やり方 |
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1. ぬるま湯を用意 |
人肌程度のぬるま湯を清潔なボウルに |
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2. コットンを湿らせる |
ぬるま湯にしっかり浸して固く絞る |
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3. 目頭から目尻方向へ拭く |
瞼の上下をそれぞれ毛流れに沿って優しく拭き取る |
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4. 別のコットンで仕上げ |
汚れを移し取らないよう新しい面で |
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5. 乾いた布で水分除去 |
湿気を残すと菌の繁殖につながる |
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6. 必要なら専用クリーナー |
頑固な場合は犬用涙やけ専用ローションを使う |
眼周囲の毛を濡らしたまま放置しないことは、地味ですが、もっとも効果のある基本ケアです。
におい対策に有効なフードの見直し
意外と見落とされがちなのが、フードの影響です。食物アレルギーが背景にあり、眼周囲の皮膚のコンディションが悪化し、匂いの原因となっているケースもあります。
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見直しポイント |
改善の方向 |
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タンパク質の種類 |
体質に合ったタンパク源へ変更(新奇タンパクや加水分解タンパク) |
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脂質の質 |
オメガ3を含む青魚由来の油を選ぶ |
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アレルギー食材 |
牛肉・鶏肉・乳製品を避ける選択肢も |
特に眼周囲の赤み(紅斑)やかゆみ(掻痒)を伴う場合は、早めにかかりつけ獣医師に一度相談することをおすすめします。放置すると匂いの問題だけでなく、擦ることにより二次的に角膜障害を引き起こすことがあります。
再発を防ぐ日々の習慣
一度においが収まっても、ケアをやめると再発するケースがほとんどです。再発を防ぐ日々の習慣を整理しました。
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習慣 |
頻度・タイミング |
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定期的な拭き取り |
朝・夜など本人の眼の周りの濡れ具合に合わせた頻度で定期的に拭きましょう |
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目周りのカット |
目に毛が入らないよう定期的にトリミング |
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週1回の重点ケア |
専用クリーナーで丁寧にお手入れ |
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フード |
フードやおやつなどの原材料に注意 |
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定期的な健康チェック |
目の状態を観察し変化を早期発見 |
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シャンプー後の徹底乾燥 |
目周りを特に念入りに乾かす(冷風を使用) |
「気がついたら拭く」を習慣化するだけで、涙やけのにおいはかなりの確率で予防できます。地道な日々のケアが結果として大きな差を生みます。
病院に相談すべきサイン
セルフケアで改善しない場合や、次のサインがある場合は獣医師に相談しましょう。涙やけのにおいの裏に治療が必要な疾患が隠れていることもあります。
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サイン |
考えられる背景 |
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強い不快臭が続く |
感染症の可能性 |
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黄〜緑色の目やにが多い |
細菌感染 |
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目周りの赤み・腫れ |
炎症や感染 |
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目を頻繁にこする |
痒みや痛みの可能性 |
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セルフケアで改善しない |
根本原因の精査が必要 |
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皮膚に発疹がある |
皮膚科的なケアも必要 |
まとめ:においが続くなら早めの受診を
犬の涙やけのにおいは雑菌の繁殖・目やにの酸化・感染症の3つが主な原因です。日々の拭き取りケアと食事の見直しで多くは改善できますが、強い不快臭や色の濃い目やにを伴う場合は感染症の可能性があります。
「ただの涙やけ」と思っていても、においという形で犬の体は何かのサインを発していることがあります。セルフケアを続けても改善しない、においが急に強くなった、目周りに赤みや腫れがあるといったときは、自己判断せず早めにかかりつけの動物病院にご相談ください。
原因が分かれば適切な治療やケアで改善するケースが多いため、長引かせず一度かかりつけ獣医師にに診てもらうことが愛犬の健康を守る一番の近道です。
■この記事の監修者
株式会社SOLVETs 代表取締役
獣医師 奥田 賢仁
※本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の症状や治療に関するご相談は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。




