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【獣医師監修】犬の涙が片目だけ出る原因は?考えられる病気と対処法を徹底解説

【獣医師監修】犬の涙が片目だけ出る原因は?考えられる病気と対処法を徹底解説

監修|獣医師 奥田 賢仁

最終監修日:2026年4月6日

「うちの犬、片目だけ涙が出ている」「片目だけ涙やけが目立つ」――こうした症状に気づいて不安になる飼い主さんは少なくありません。

両目が同時に涙を出すのは生理的な反応で起きやすい現象ですが、片目だけの涙は局所的な原因が隠れているサインの可能性が高くなります。一時的な異物や軽い刺激なら自然に治ることもありますが、角膜の傷、鼻涙管の詰まりや感染症など治療が必要な疾患が原因のケースも珍しくありません。

本記事では犬の片目だけ涙が出る原因と症状の見分け方、自宅でできる対処法と病院に行くべきサインまで詳しく解説します。

結論:片目だけの涙は「局所原因」が疑われる

両目の涙と片目だけの涙では、考えられる原因がまったく異なります。最初に全体像を整理しました。

観点

ポイント

両目の涙との違い

片目だけの場合は局所的な原因の可能性が高い

主な原因

異物、まつ毛のトラブル、鼻涙管詰まり、感染、外傷

緊急度

中〜高(原因によっては早期受診が必要)

セルフケアの範囲

異物除去(毛など)や拭き取り程度。原因不明なら受診


「片目だけ涙やけが目立つ」「片目だけ涙の量が多い」と感じたら、その目に何かが起きているサインだと考えてください。早めに観察と対処を始めることが、悪化を防ぐカギになります。

考えられる主な原因7つ

片目だけの涙の原因は、大きく7つに分類できます。それぞれの特徴を整理しました。

原因

特徴

異物が入っている

まつ毛・砂・植物片など。突然の涙、目をこする仕草

逆さまつ毛・睫毛異常

まぶたから目に向かってまつ毛が生えている

鼻涙管の詰まり・狭窄

片側だけ涙の排出経路が機能しない

結膜炎・角膜炎

目やにの増加、充血、痒み

角膜の傷

強い痛み、目を開けにくそうにする

腫瘍

まぶたや目周りに腫れ・しこり

緑内障(早期)

片目だけ涙、散瞳、充血、目を開けにくそうにする(羞明)

ぶどう膜炎

目ヤニ、目を開けにくそうにする(羞明)、縮瞳

涙が多いというだけでなく、目を気にしている、開けづらそうにしているという主訴で来院なさったケースでは、検査の結果、角膜の傷が見つかるケースや緑内障と診断されるケースも珍しくはありません。

原因1:異物が入っている

もっとも多い一時的な原因が、目に異物が入っているケースです。散歩中の砂ぼこり、植物の細かい破片、自分のまつ毛、ホコリなどが目に入ると、犬は涙を流して異物を洗い流そうとします。

この場合、突然涙が出始めて、犬が目をこすろうとする仕草を伴うのが特徴です。多くは数分〜数時間で異物が排出され、自然に治ります。ただし異物が深く入り込んでしまった場合や、異物により角膜を傷つけている場合もありますので、目を気にする様子が見られる場合は早めに受診してください。

原因2:逆さまつ毛・睫毛異常

まぶたから目に向かって生えるまつ毛(睫毛乱生)や、本来生えるはずのない場所(瞼の裏)から生えるまつ毛(異所性睫毛)は、目を刺激し続けて涙の分泌を増やします。慢性的な片目の涙の原因として比較的多く見られるパターンです。

原因3:鼻涙管の詰まり・狭窄(鼻涙管閉塞)

鼻涙管(涙を目から鼻へ流す管)が片側だけ詰まっていると、片目の涙が外へ排出できず溢れ出てきます。マルチーズ、トイ・プードル・シーズーといった犬種で特に多く見られる疾患です。

検査としては、フルオレセイン(蛍光色素)を点眼し、点眼したのと同側の鼻から蛍光色素が排出されるか確認します。通常は鼻涙管により、涙は鼻腔へ流れるので、5-15分で排出が確認されます。狭窄がある場合には、上記の排出が確認できません。

鼻涙管に詰まりがあり一時的に閉塞している場合には、生理食塩水などでフラッシュすることで改善が見込めます。

原因4:結膜炎や感染症

細菌性・ウイルス性の結膜炎が片目から始まることはよくあります。涙の増加とともに、目ヤニの量が増える、白目が充血する、目を痒がるといった症状を伴います。

黄色〜緑色の目やにが目立つ場合は細菌感染の可能性が高く、抗生剤の点眼薬が必要になります。家庭でできることは限られるため、症状が見られたら早めに受診しましょう。

原因5:角膜の傷

犬同士のケンカや、室内での衝突、散歩中の草や枝にあたる、目を気にして擦る(自傷)など何らかのきっかけで角膜に傷ができると激しい痛みと涙を引き起こします。角膜の傷は時間が経つと感染を併発したり、傷が深いケースでは最悪の場合失明するリスクもあるため、もっとも緊急性の高い原因のひとつです。

「目を強く閉じて開けようとしない」「涙が多く目をしきりにこする」といったサインがある場合は、当日中の受診を強くおすすめします。

原因6:緑内障、ぶどう膜炎

緑内障は何らかの原因により眼圧が上昇することにより様々な障害が出る疾患です。激しい疼痛を伴うことも多く、放置すると失明するリスクの高い緊急疾患です。ぶどう膜炎は、虹彩、毛様体、脈絡膜のいずれか、または複数に生じた炎症により疼痛を伴う疾患です。眼圧は緑内障とは逆に通常低下を示します。放置すると続発性の緑内障を引き起こし、失明のリスクがあります。いずれの疾患もなるべく早い受診と治療が必要です。

原因7:腫瘍

まぶたに腫瘍ができることで涙が片側だけ増えることがあります。まぶたにできやすい腫瘍にはマイボーム腺腫があります。良性の腫瘍ですが、突出した腫瘍が物理的に角膜を刺激することにより、充血や流涙を引き起こします。治療としては、外科的切除が一般的に適用されます。

緊急度の高いサイン

次のサインがある場合はすぐに受診してください。

サイン

想定される状況

目を強く閉じている・開けられない

強い痛み、角膜の傷の可能性

目を頻繁にこする・引っかく

強い違和感や痛み

目に明らかな白濁・赤み

炎症や緑内障の可能性

黄〜緑色の目やにが大量

細菌感染の進行

まぶたの腫れ・しこり

腫瘍や炎症の可能性

元気・食欲の低下を伴う

全身性の疾患の可能性

数日経っても改善しない

治療が必要な原因が隠れている


特に角膜障害や緑内障は失明につながるリスクもあるため早期の対応が重要です。「様子見」が許される時間は短いと考えてください。

自宅でできる初期対応

受診までの間、または軽度の症状の場合に自宅でできる初期対応を整理しました。

対応

やり方

明るい場所で目をチェック

異物・赤み・しこりを観察

優しく目周りを拭く

ぬるま湯で湿らせたコットンで毛流れに沿って

異物が見えたら無理に取らない

綿棒など先の硬いもので触らない

様子を観察

30分〜1時間で改善するか確認

改善しなければ受診

翌日まで持ち越さない

写真や動画で記録

受診時に経過を伝えやすい


目の中に直接触れる処置は素人判断で行わないのが鉄則です。異物が深く入っている、見えない場所にある場合は獣医師に任せましょう。家庭での無理な処置で角膜を傷つけてしまうケースが少なくありません。

病院でどんな検査が行われる?

片目の涙で受診すると、原因を特定するためにいくつかの検査が行われます。代表的な検査と分かることを整理しました。

検査

確認できること

フルオレセイン染色検査

角膜の傷、鼻涙管の通り

シルマー涙液検査

涙の分泌量

眼底検査

目の奥の状態、視神経の異常

眼圧測定

眼球内の圧力を測定

細菌培養同定検査

細菌種の同定

薬剤感受性試験

抗菌剤に対する細菌の感受性を確認通常、上述の細菌培養同定検査と同時に実施される。


検査自体は短時間で終わるものが多く、犬への負担も限定的です。原因不明の片目の涙が続く場合は、早めに検査を受けることで的確な治療につながります。

まとめ:片目の涙は早めの受診が安心

犬の片目だけの涙は、両目と違い局所的な原因が隠れている可能性が高い症状です。一時的な異物などなら数時間で改善しますが、続く場合や強い症状を伴う場合は早めの受診をおすすめします。

「片目の涙やけが目立つだけ」と思っていても、その奥には鼻涙管の詰まり・逆さまつ毛・結膜炎・角膜の傷などさまざまな原因が考えられます。原因が分かれば適切な治療で改善するケースが多いため、自己判断で長引かせず獣医師に相談することが愛犬の目を守る一番の方法です。

急に強い症状が出た、目を痛がる、元気がないなどの様子があれば、当日中の受診をおすすめします。

■この記事の監修者

監修獣医師  奥田 賢仁

株式会社SOLVETs 代表取締役

※本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の症状や治療に関するご相談は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。

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