ドッグフードとキャットフードの違いは?犬と猫の食性から見る成分・栄養素の違いを徹底解説

ドッグフードとキャットフードの違いは?犬と猫の食性から見る成分・栄養素の違いを徹底解説
監修|獣医師 奥田 賢仁
最終監修日:2026年4月3日
犬と猫を一緒に飼っているご家庭では、「ドッグフードとキャットフードを共有してもいいのか」「間違って食べてしまったけれど大丈夫か」といった疑問を持つ場面があるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、ドッグフードとキャットフードは見た目こそ似ていても、栄養設計はまったく別物です。互いに代用することは推奨されません。
本記事では、犬と猫の食性の違いから始まり、フードに含まれる栄養素の差、誤食したときのリスク、多頭飼育での給餌の工夫までを整理して解説します。
まず結論:違いを一覧で確認
詳細に入る前に、犬と猫それぞれに必要な栄養素の違いを表で整理します。
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項目 |
犬(雑食寄りの肉食) |
猫(完全肉食動物) |
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タンパク質最低値 |
18%以上(成犬) |
26%以上(成猫) |
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タウリン |
体内で合成可能 |
食事からの摂取が必須 |
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アラキドン酸 |
リノール酸から合成可能 |
食事から直接摂取が必要 |
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ビタミンA |
β-カロテンから変換可能 |
活性型ビタミンAが必要 |
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炭水化物比率 |
比較的高め(穀物・イモ類) |
低め(グレインフリーも多い) |
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味覚の特徴 |
幅広い食材に反応 |
甘味は感じない/旨味に強く反応 |
この一覧を見ると分かるように、猫はタウリン・アラキドン酸・ビタミンAといった栄養素を体内でほとんど合成できないため、食事から直接摂る必要があります。これがキャットフードとドッグフードの設計を大きく分ける根本的な要因です。
犬と猫はそもそも食性が違う
犬は雑食寄りの肉食動物
犬は分類上は肉食動物ですが、長い家畜化の歴史のなかで人間の食生活に適応してきた経緯があります。動物性タンパク質を主体としながらも、穀物や野菜から栄養を吸収する能力をある程度備えているのが特徴です。
唾液中にはデンプンを分解するアミラーゼがほとんど含まれていないものの、膵臓から分泌されるアミラーゼによって炭水化物を消化することができます。米やイモ類、野菜なども適切に加工されていれば、栄養源として十分活用できる動物です。
猫は完全肉食動物(真性肉食動物)
一方の猫は「真性肉食動物(オブリゲート・カーニボア)」に分類されます。生きていくうえで動物性タンパク質と動物性脂肪を必須とする、完全な肉食動物です。
野生時代から小型のげっ歯類や鳥類を獲物としてきた背景があり、その食性は犬以上に肉食に特化しています。炭水化物を効率的に利用する能力は犬よりも低く、また体内で合成できない必須栄養素の種類が犬より多いことが、フード設計の違いに直結しています。
栄養素から見る5つの大きな違い
1. タンパク質量
AAFCO(米国飼料検査官協会)が定める栄養基準では、成犬用フードのタンパク質最低値は乾物量ベースで18%以上、成猫用は26%以上が必要とされています。実に1.4倍の差です。
猫はエネルギー源としてもタンパク質を優先的に利用する代謝特性を持つため、十分な量を摂取できないと筋肉量や免疫機能に影響が出るおそれがあります。キャットフードに肉や魚などの動物性原料が高比率で配合されているのは、この代謝特性に対応するためです。
2. タウリン
タウリンは含硫アミノ酸の一種で、心筋機能・視覚機能・胆汁酸生成に重要な役割を果たします。犬は体内である程度合成できますが、猫はほとんど合成できません。
そのためキャットフードではタウリンが必須栄養素として添加されていますが、一般的なドッグフードではキャットフードに比べ添加量が少ない製品があります。猫がドッグフードを長期的に食べ続けると、タウリン欠乏による拡張型心筋症や網膜変性症のリスクが報告されています。
3. アラキドン酸とビタミンA
アラキドン酸は皮膚や被毛の健康、生殖機能の維持に関わる不飽和脂肪酸です。犬はリノール酸から体内で合成できますが、猫はこの変換能力に乏しく、食事から直接摂取しなければなりません。
ビタミンAも同様で、犬はβ-カロテンから合成できる一方、猫はその酵素活性が低いため、活性型ビタミンAを必要とします。キャットフードに動物性脂肪や肝臓由来の原料が多用されるのはこのためです。
4. 炭水化物の比率
ドッグフードには穀物やイモ類由来の炭水化物が比較的多く含まれます。一方キャットフードは炭水化物比率が低く設計され、グレインフリー製品も多く流通しています。
猫は炭水化物を分解するアミラーゼ活性が低いため、過剰な摂取は消化負担になります。ただし近年は犬向けでも穀物アレルギーや消化機能の観点からグレインフリー製品が増えており、両者ともに穀物使用の方針は多様化しています。
5. 嗜好性(味・香り)の設計
犬はさまざまな食材に幅広い興味を示しますが、猫は嗜好性に強いこだわりを持ちます。
猫は甘味受容体が機能していないとされる一方、肉や魚由来のアミノ酸・ヌクレオチドの風味に強く反応します。キャットフードが香りや旨味成分の設計に特に力を入れているのはこの理由です。ドッグフードはより幅広い食材ベースで嗜好性が設計され、肉だけでなく野菜や果物の風味も活用される点が異なります。
犬がキャットフードを食べたときのリスク
犬と猫を一緒に飼っていると、犬が猫の食器に近づいてキャットフードを食べてしまうことがあります。一度や二度の少量摂取で深刻な健康被害が出るわけではありませんが、習慣化すると次のようなリスクが指摘されています。
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リスク |
内容 |
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肥満 |
高タンパク・高脂質設計のため、犬にとってはカロリー過多になりやすい |
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消化不良 |
脂質が多いことで、軟便や下痢を起こすケースがある |
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栄養バランスの偏り |
犬に必要な栄養素が不足する可能性がある |
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膵炎リスク |
脂質の多い食事は膵炎の誘因となることが報告されている |
特にシニア犬や持病のある犬では影響が出やすく、食器の置き場所を工夫することが重要です。
猫がドッグフードを食べたときのリスク
逆のパターン、つまり猫がドッグフードを食べてしまう場合のリスクは、犬以上に深刻になり得ます。短期的な少量摂取であれば大きな問題にはなりにくいものの、長期にわたって主食として与え続けると以下のような栄養欠乏が起こる可能性があります。
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不足する栄養素 |
想定されるリスク |
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タウリン |
拡張型心筋症、網膜変性 |
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アラキドン酸 |
皮膚・被毛のトラブル、生殖機能の低下 |
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タンパク質 |
筋肉量低下、免疫機能の低下 |
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ビタミンA |
視覚障害、成長障害 |
「ドッグフードしか手元にないから」という一時的な代用は避け、必ず猫専用のキャットフードを用意してください。
多頭飼育での給餌の工夫
犬と猫を同時に飼育する家庭で、お互いのフードを食べてしまわないようにするための実践的な対策は次の3つです。
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対策 |
具体的な方法 |
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食事スペースを分ける |
猫の食器をキャットタワーやキッチンカウンターなど、犬が届かない高所に置く |
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時間を分けて給餌 |
置き餌をやめて時間を決めて与え、食べ終わったら食器を片付ける |
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設備を活用する |
猫だけ通れるペットゲート、マイクロチップ式自動給餌器などを使う |
猫は高所への移動が得意なため、垂直方向の活用が効果的です。また置き餌の習慣がある場合は、これを機に時間給餌へ切り替えることで、フード鮮度の維持や食事量の管理にもつながります。
まとめ:それぞれの動物に合ったフード選びを
ドッグフードとキャットフードは、犬と猫それぞれの食性・代謝特性に合わせて栄養設計された専用フードです。タンパク質量、タウリン、アラキドン酸、ビタミンAなど、必要とされる栄養素の種類と量が大きく異なるため、互いに代用することはできません。
短期的な誤食であれば過度に心配する必要はありませんが、習慣的に与え続けると健康トラブルの原因になります。多頭飼育の場合は、それぞれの動物が自分専用のフードを適切な量で食べられるよう、給餌環境を整えていきましょう。
フード選びに迷ったときや、誤食後に下痢・嘔吐などの症状が見られた場合は、自己判断せず動物病院でかかりつけの獣医師にご相談ください。
■この記事の監修者
株式会社SOLVETs 代表取締役
獣医師 奥田 賢仁
※本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の症状や食事に関するご相談は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。



