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犬がトイレを失敗するようになった理由は?原因別の対処法と病気のサインを解説

犬がトイレを失敗するようになった理由は?原因別の対処法と病気のサインを解説

監修|獣医師 奥田 賢仁

最終監修日:2026年4月6日

「これまでちゃんとできていたのに、急にトイレを失敗するようになった」――こんな悩みを抱える飼い主さんは少なくありません。「最近トイレを外すようになった」「シニア期になって粗相が増えた」といった相談は日頃からよく受けます。

犬が突然トイレを失敗するようになる背景には、環境変化やストレスといった行動的な要因から、膀胱炎や認知機能の低下といった病気のサインまで多様な原因があります。原因によって対処法が大きく変わるため、まず見極めることが重要です。

本記事では犬がトイレを失敗する原因を5つのカテゴリで整理し、それぞれの対処法や病院に相談すべきサインまで詳しく解説します。

結論:原因は5つのカテゴリで考える

トイレ失敗の原因は次の5つに整理できます。

カテゴリ

代表的な原因

1. 環境の変化

引っ越し、家族構成の変化、トイレの位置変更

2. ストレス・不安

留守番時間の増加、騒音、新しいペット

3. 加齢による変化

認知機能の低下、筋力低下、感覚の鈍化

4. 病気のサイン

膀胱炎、尿路結石、糖尿病、腎臓病、認知症

5. しつけのずれ

トイレ環境の不適合、学習の上書き


それぞれを順に詳しく見ていきます。原因によって対応が異なるため、愛犬の状況がどれに当てはまるか考えながら読み進めてください。

原因1:環境の変化が引き金になっている

犬は環境の変化に敏感な動物です。引っ越し・家族の増減・家具の配置換えといった変化があると、それまで安定していたトイレ習慣が崩れることがあります。

実際に飼い主さんからも「引っ越して2週間ほど粗相が続いた」「赤ちゃんが生まれてからトイレを外すようになった」「新たな犬をお迎えしたら先住犬がトイレを失敗するようになった」「新しい家具を入れたら隅で排泄するように」といった声が聞かれます。

変化のきっかけ

起こりやすい行動

引っ越し・模様替え

新しい場所が認識できず以前の場所で排泄しようとする

家族構成の変化

緊張やマーキング行動の増加

新しいペットの導入

縄張り意識による粗相

トイレの位置変更

前の位置で排泄してしまう

シーツの種類変更

感触に違和感を感じて使わなくなる


対策としては、変化を最小限に抑える、急に変えるのではなく徐々に移行する、新しい環境では再度トイレトレーニングをやり直すといった方法が有効です。多くは数週間〜1ヶ月で落ち着きます。

原因2:ストレスや不安によるもの

目に見える環境変化がなくても、犬自身がストレスや不安を抱えていると粗相につながることがあります。特に分離不安や慢性的なストレスは、トイレ失敗の隠れた原因として見落とされがちです。

ストレス源

現れやすい行動

留守番時間の増加

留守中・帰宅直後の粗相

雷・花火などの大きな音

怖がりながら粗相

飼い主の生活リズム変化

緊張による排泄コントロール低下

室内の騒音(工事音など)

落ち着いて排泄できない

叱られすぎた経験

排泄行為そのものへの恐怖


犬は叱られると「排泄=怒られる」と学習してしまい、隠れた場所で排泄するようになります。「叱る」よりも「成功を褒める」アプローチに切り替え、犬が安心して排泄できる環境を作ることが大切です。

原因3:加齢に伴う変化

シニア期に入った犬では、加齢による身体機能の変化が原因でトイレを失敗するようになることがあります。本人に悪気はなく、コントロールできなくなっているケースが多いため、責めずにサポートする姿勢が大切です。

加齢に伴う変化

影響

筋力低下

排泄を我慢する力が弱くなる

膀胱機能の低下

尿を溜めておく時間が短くなる

視覚・嗅覚の衰え

トイレの位置がわかりにくくなる

関節痛

トイレまで歩くのがつらくなる

認知機能の低下

トイレ自体を忘れてしまう


シニア期の対策としては、トイレの数を増やす(各部屋に1つずつなど)、段差をなくす、夜間用のおむつを併用するといった環境調整が有効です。「トイレが遠くて間に合わない」というケースは想像以上に多く、トイレの近接性を改善するだけで失敗が減ることもあります。

原因4:病気のサインの可能性

急にトイレを失敗するようになった場合、病気が隠れている可能性も考えなければなりません。特に泌尿器系の疾患は粗相のもっとも多い医学的原因です。

疑われる病気

特徴的なサイン

膀胱炎・尿路疾患感染

頻尿、少量ずつ何度も排泄、血尿

尿路結石

排尿時の痛み、排尿姿勢を取るが出ない(すぐに諦めてしまう)

糖尿病

多飲多尿、急な体重減少

腎臓病

多飲多尿、色の薄い尿、食欲低下、嘔吐、体重低下

クッシング症候群

多飲多尿、お腹が膨らむ(腹部膨満)、毛が薄くなる

子宮蓄膿症(未避妊メス)

多飲多尿、食欲低下、外陰部からの分泌物(膿)

認知症

夜中の徘徊、ぼんやりする時間が増える、夜泣き

椎間板ヘルニア

後ろ足のふらつき、トイレでの姿勢が取れない


実際の診療において、 トイレの失敗を主訴に来院され、病気が見つかることは非常に多いです。とくに次のサインを伴う場合は早めの受診が必要です。

要注意のサイン

考えられる背景

水を飲む量が増えた

腎臓病、糖尿病、クッシング症候群、子宮蓄膿症(特に未避妊の場合)

尿の量・回数が増えた

泌尿器疾患、内分泌疾患

血尿が出ている

膀胱炎、結石、腫瘍、前立腺疾患

食欲が落ちている

全身性の病気の可能性

元気がない

病気のサインの可能性大

排尿時に鳴く・痛がる

結石、炎症の可能性


原因5:しつけのずれ・環境不適合

トイレシートやトイレトレーが犬にとって使いにくい環境になっていることもあります。これは特に若い犬や成犬の粗相で見られる原因です。

問題

改善ポイント

トイレが汚れている

シートをこまめに交換し清潔に保つ

トイレが狭い

犬の体長の1.5倍以上の広さに

トイレの場所が落ち着かない

人通りの少ない静かな場所へ移動

シートの素材が合わない

別の素材を試してみる

トイレに苦手意識がある

ポジティブな経験を積み重ねる


原因別の対処法まとめ

それぞれの原因に対応する基本的な対処法を整理しました。

原因

基本の対処法

環境変化

急な変化を避け、再度トイレ位置を覚えさせる

ストレス

ストレス源の特定と除去、安心できる場所の確保

加齢

トイレを増やす、段差をなくす、おむつの併用

病気

速やかに動物病院を受診

環境不適合

トイレ環境の見直しと再トレーニング


原因が複数重なっているケースもあります。たとえば「環境変化×ストレス」「加齢×病気」など、観察しながら複合的に対応していく姿勢が大切です。

失敗したときにやってはいけない対応

粗相を見つけたとき、つい強く叱ってしまう飼い主さんもいますが、これは逆効果になります。次のような対応は避けましょう。

NG行動

起こる悪影響

強く叱る・大声を出す

排泄自体への恐怖、隠れて排泄するように

失敗した場所を見せて叱る

犬は何で叱られているか理解できない

長時間後に叱る

因果関係が結びつかず混乱を招く

失敗を放置する

同じ場所で繰り返す原因に

犬の前で消臭スプレーを使う

におい変化で混乱、ストレスに


失敗したときは黙って淡々と片付け、においを完全に消すこと(犬の嗅覚は人間の数千〜数万倍)が大切です。叱るのではなく、成功したときに褒めるアプローチに徹底することが再学習の近道です。

病院に行くべきタイミング

迷ったら早めに病院へ、が基本です。次のような状況では特に急ぐべきです。

状況

推奨アクション

急に粗相が始まった

数日以内に受診

血尿が出ている

当日中に受診

排尿時に痛がる

当日中に受診

水を大量に飲むようになった

当日中に受診

食欲・元気の低下を伴う

速やかに受診

シニア期で夜間徘徊もある

認知症の可能性あり、受診


まとめ:原因の見極めが対処の第一歩

犬が急にトイレを失敗するようになる背景には、環境変化・ストレス・加齢・病気・しつけのずれといった多様な原因があります。「最近トイレを外すようになった」というシンプルな現象でも、原因によって対処法はまったく異なります。

まずは愛犬の生活環境や様子を観察し、変化のきっかけや病気のサインがないかチェックしてください。叱ることは逆効果になりやすいため、原因に応じた環境調整と再トレーニングを基本に取り組みましょう。

急な変化や、頻尿・血尿・多飲多尿などのサインを伴う場合は、自己判断せず早めにかかりつけの動物病院にご相談ください。早期発見が愛犬の健康を守る一番の近道です。

■この記事の監修者

株式会社SOLVETs 代表取締役

獣医師  奥田 賢仁

※本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の症状や行動に関するご相談は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。

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