犬の避妊手術のデメリットは?知っておきたいリスクと対策を解説

監修|獣医師 奥田 賢仁
最終監修日:2026年4月3日
メス犬の避妊手術は、子宮や卵巣の病気を予防できるなどメリットが多く知られています。一方で「手術を受けさせるか迷っている」「デメリットが心配」という飼い主さんも少なくありません。
避妊手術にはたしかに知っておくべきデメリットやリスクがありますが、いずれも事前に理解し、適切なケアを行うことで多くは管理可能です。
本記事では、避妊手術のデメリットを「身体への影響」「行動・性格への影響」「手術そのもののリスク」の3つの軸で整理し、対策まで具体的に解説します。
結論:デメリットは主に3つの観点で整理できる
避妊手術のデメリットは、次の3つに大別されます。
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観点 |
代表的なデメリット |
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身体への影響 |
肥満傾向、ホルモンバランスの変化、尿失禁の可能性 |
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行動・性格への影響 |
活動性の低下、まれに性格の変化 |
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手術そのもののリスク |
麻酔リスク、出血、感染、術後の合併症 |
それぞれを順に詳しく見ていきます。
身体への影響に関するデメリット
1. 肥満になりやすくなる
避妊手術の代表的なデメリットが、術後に肥満傾向が出やすくなる点です。卵巣を摘出することで性ホルモンの分泌が変化し、基礎代謝が低下するためエネルギー消費量が手術前より20〜30%程度減ると報告されています。
同じ食事量を続けるとカロリー過多となり、体重が増加しやすくなります。肥満は関節疾患や糖尿病、心疾患など多くの病気のリスクを高めるため、体重管理が重要です。
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対策 |
具体的な方法 |
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フードの見直し |
避妊・去勢後専用フード、または給与量を10〜20%減量 |
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体重の定期測定 |
月1回の体重チェックで早期に変化を察知 |
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運動量の確保 |
散歩時間を維持または増やし、消費カロリーを保つ |
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おやつの管理 |
1日の総カロリーの10%以内に抑える |
2. 尿失禁が起こることがある
避妊手術後、まれに「ホルモン反応性尿失禁」と呼ばれる症状が見られることがあります。これは尿道括約筋の機能がエストロゲンの低下により弱まることが原因と考えられています。
発症率は犬種やサイズによって異なりますが、大型犬で5〜20%程度との報告があり、小型犬ではより低い傾向があります。多くは内服薬でコントロール可能です。
3. 被毛の変化
一部の犬種では術後に被毛の質感が変わることがあります。特にロングコート系の犬種で、被毛が柔らかくなったり量が増えたりする変化が報告されています。健康への影響はほぼありませんが、ブラッシングの頻度が増える場合があります。
行動・性格への影響に関するデメリット
1. 活動性が低下する可能性
ホルモンバランスの変化により、術後にやや落ち着いた印象になる犬もいます。これはメリットとして語られることもありますが、もともと活発な犬の場合「元気がなくなった」と感じる飼い主さんもいます。
ただし急激な変化ではなく、数週間〜数ヶ月かけて徐々に現れるため、運動習慣を維持していれば大きな問題にはなりにくいです。
2. 攻撃性の変化(個体差あり)
メス犬の場合、避妊手術によって攻撃性が変化する例は少ないですが、まれに不安行動や警戒心が強くなるケースが報告されています。原因は完全には解明されておらず、個体差が大きいとされます。
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変化のパターン |
頻度 |
対応 |
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落ち着きが増す |
比較的多い |
問題行動が減るためメリットとも捉えられる |
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活動性の低下 |
中程度 |
運動量を意識的に確保する |
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不安行動が増える |
少ない |
獣医師・トレーナーに相談 |
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攻撃性の変化 |
まれ |
行動診療が必要なケースも |
手術そのもののリスク
1. 麻酔リスク
避妊手術は全身麻酔下で行われるため、麻酔そのもののリスクは避けられません。健康な犬での麻酔関連死亡率は0.05〜0.1%程度との報告がありますが、高齢犬や持病のある犬ではリスクが高まります。
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リスクが高まる条件 |
事前にできる対策 |
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高齢(7歳以上) |
術前に血液検査・心電図・レントゲンで全身状態を評価 |
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心疾患・腎疾患などの持病 |
持病のコントロール後に手術時期を判断 |
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短頭種(ブルドッグ、パグなど) |
気道の評価と麻酔薬の慎重な選択 |
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極端な肥満・痩せ |
体調を整えてから手術を検討 |
信頼できる動物病院で術前検査をしっかり行えば、多くのリスクは事前に把握・対策できます。
2. 出血・感染・術後合併症
開腹手術であるため、出血や感染、縫合部のトラブルなどのリスクがゼロではありません。ただし近年は腹腔鏡下避妊手術も普及しつつあり、傷口が小さく回復が早い選択肢も増えています。
3. 術後の管理が必要
手術後は1〜2週間ほど安静期間が必要です。エリザベスカラーの装着、傷口の管理、運動制限など、飼い主さん側のサポートが欠かせません。
デメリットを上回るメリットも理解しておく
デメリットだけ見ると不安になりますが、避妊手術には大きなメリットもあります。判断するうえでは両方を比較することが大切です。
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メリット |
内容 |
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子宮蓄膿症の予防 |
未避妊メス犬の発症率は10歳までで約25%。命に関わる疾患 |
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乳腺腫瘍の予防 |
初回発情前の手術で発症率を大幅に低減できる |
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卵巣腫瘍の予防 |
卵巣摘出により発生リスクをゼロに近づけられる |
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望まない妊娠の回避 |
発情期の管理ストレスから飼い主・犬ともに解放 |
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発情期のトラブル回避 |
出血・興奮・体調変化への対応が不要に |
特に子宮蓄膿症は中高齢のメス犬で発症率が高く、緊急手術が必要になる重篤な疾患です。予防的な避妊手術は、こうした疾患リスクを大きく下げる効果があります。
手術を判断するときの3つのポイント
避妊手術を受けさせるかどうか迷うときは、以下の3点を整理して獣医師に相談すると判断しやすくなります。
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判断ポイント |
確認内容 |
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年齢・健康状態 |
若く健康なうちのほうが麻酔リスクは低い |
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繁殖の予定 |
繁殖の予定がなければ避妊手術のメリットが大きい |
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生活環境 |
オス犬との接触可能性、外出頻度などを考慮 |
まとめ:デメリットを理解したうえで適切な判断を
犬の避妊手術には、肥満傾向や尿失禁、麻酔リスクといったデメリットがあるのは事実です。しかしそのほとんどは事前の理解と術後ケアによって管理可能です。
一方で、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍といった重篤な疾患を予防できるメリットは大きく、多くのケースでメリットがデメリットを上回ると考えられています。
最終的には愛犬の年齢・健康状態・生活環境を踏まえ、かかりつけの獣医師と十分に相談したうえで判断することが大切です。デメリットだけを理由に判断するのではなく、長期的な健康とQOLの両面で検討してみてください。
■この記事の監修者
監修獣医師 奥田 賢仁
株式会社SOLVETs 代表取締役
北里大学獣医学部 獣医生化学研究室卒業
※本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものです。手術の判断や個別の症状に関するご相談は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。